ミノーなのか、シンペンなのか。
当時としては画期的な”リップ付きシンキングペンシル”として注目を集めたルアー。
今回は、2009年にマングローブスタジオからリリースされたシンキングペンシル「マリブ78」をご紹介します。
スペック
サイズ | 78mm |
ウエイト | 11.8g |
タイプ | シンキング |
レンジ | 0cm〜80cm |
フック | #6 |
リング | – |
特徴
「湾奥のプリンス」こと大野ゆうき氏が監修した「マリブ78」。
その大きな特徴は、従来のシンペンにはないリップの水噛みの良さを活かしたレンジキープ力と固定重心による泳ぎ出しの良さが魅力で、強風下やわずかな流れの中でも浮き上がりを抑えて足元までトレースが可能。
安定した飛距離を出しながらも水平姿勢を維持したまま広いバイトゾーンを持ち、シンキングペンシルにありがちなレンジコントロールの難しさと巻き心地のなさをリップによって解消した誰でも使えるミノーライクなルアーと言えます。
また、ロッドを構える高さによって任意のレンジを操作でき、ただ巻きをメインにアクセントとしてトゥイッチなどを織り交ぜるのも効果的。
オリジナルサイズの「78mm」に加えて、現在では「68mm」「92mm」がラインナップされており、オールシーズン誰でもどこでも活躍できる食わせのシンキングペンシルとして今でも根強い人気を持つのがマリブです。
インプレ
元祖リップ付きシンキングペンシルといえば「マリブ78」ということで、この名作ルアーを使ったことのある方も多いのではないでしょうか。
かくいう筆者も、シーバス釣りをはじめて間もない頃から使っている思い入れのあるルアーです。
とくに印象的なのは、上げ潮時の流れの緩くなった河川の橋脚際です。
根がかりできないシャローレンジ、無論マリブにルアーチェンジ。
上げ潮になると水がかなりクリアになるのでカラーは「コーラルピンク」を選択。
河川をやや斜めに横切るようにできた橋脚の明暗。そのさらに橋下付近にもう一段階暗くなるうっすらとした明暗があります。
緩やかな流れを逆算してややアップクロス気味にキャスト。
流心から薄く弧を描いてちょうど手前の橋脚スレスレをトレースしていきます。
ただ、ここはめちゃくちゃ浅い根がかり多発ポイント。
ロッドを立てて水面直下10cmあたりをゆっくり引いてきますが、あまりデッドスローになるとマリブといえど沈んで根がかってしまうので塩梅が難しい…。
それでも想像した通り、内側の明暗際でうまくターンしフラフラとお尻を振りながら戻ってきます。
…ドンッ!
「YESッ!!!」
橋脚の肩のやや手前あたり。
渋い上げ潮時に出せて思わず声をあげてしまいましたが、すかさず牡蠣瀬や橋脚から引き剥がすため、強引に水深のある手前まで寄せてきます。
バチャバチャバチャ!!!
充分に体力を奪ったところで丁寧にランディング。
サイズは普通ですが、さすがマリブ。
改めてマリブの良さを実感です。
アクションは、速巻きでS字気味に泳ぎ、ミディアム〜スローではタイトにお尻を振るスイングアクション。
速巻きや連続トゥイッチでも釣れますが、リップは付いていてもやはりシンペンなのでスローなアプローチの方が断然おすすめです。
飛距離はスイッチヒッターなどぶっ飛び系シンペンと比較すれば劣りますが、中〜近距離のシーバスを狙う上では充分なレベルでしょう。
良い点
先述したように、泳ぎ出しと姿勢の良さ、そしてレンジキープ力はマリブの大きな強みだと思います。
ロッドを立てれば20〜40cmをトレースでき、下げて沈めれば80cm程度の深いレンジから引いてくることが可能で、シーバスに見切られにくい水平姿勢と浮き上がりを抑えた設計から、やや足場の高い場所ですら手前でドンッとバイトを得ることもしばしば。
浅いレンジのミノーに反応しなくなったとき、風が出て水面が荒れ始めたときなど、釣りをしていれば誰でも一度はあるかと思いますが、筆者もそんなときにマリブを投げてシーバスの反応が変わることもしばしば経験しました。
オールシーズン活躍できるルアーですが、個人的には68サイズと合わせてマイクロベイトパターンにめちゃくちゃ強いルアーです。
ただ、78サイズの方が飛距離も稼げて手元に抵抗感も伝わるので止水域でも使いやすく、トゥイッチした際も水面を割りにくいのが利点ですね。
ミノーの「レンジキープ力」「水平姿勢」+シンペンの「アクション」「飛距離」が融合。
気になる点
性能面で気になる点はないのものの、唯一挙げるとすればマリブ自体が入手しにくい点でしょう。
同クラスのシンペンに比べて価格が高めで、釣具店によっては取り扱いのないところもあったりするので、釣り初心者にとっては非常に使いやすいルアーな反面、やや手が出しにくいルアーと言えるかもしれません。
ニッチなメーカーで根強い人気があるだけにやや入手困難なルアー。
使いどころ
メインは小〜中規模河川のような流れのあるポイントですが、流れの緩い干潟などのオープンエリアをはじめ、港湾や漁港のピンに着いたシーバスにもおすすめです。
また、監修した大野さんによると凪いだサーフでの実績も高いようなので比較的どんな場所でも使えそうですね。
ディープエリアであれば根がかりを気にせずに、1m以浅でもロッドの位置を調整しつつといった感じで広いレンジをカバーでき、ミノーでは波動が強すぎるデリケートな状況でもシンペンのマリブなら攻略できるパターンがあるはずです。
おすすめエリア:河川、干潟、河口、港湾、漁港、サーフ
おすすめカラー
【ハッピーレモン】
【コーラルピンク】
まとめ
というわけで、今回はマングローブスタジオの「マリブ78」をご紹介しました。
元祖リップ付きシンキングペンシルとして、それぞれの良さを取り入れたマリブならではの特徴が詰まっており、小さいベイトが溜まったポイントやシャローエリアでも食わせのルアーとして効果を発揮してくれるはずです。
リップ付きシンキングペンシルを使ったことがない人ほど、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか?